親父出てこいと言ったわしの声が聞こえたのか?
それとも久しぶりの暖かい日差しに呼ばれたのか?
オヤジは、黒い自転車を手にして家を出てきた。
黒い自転車、オヤジが「クロちゃん」と呼んでいる小さな自転車だ。
「遠出するならわしも乗せてってくれ〜」
急いでオヤジの背に乗る
オヤジの漕ぎ方は至極のんびりだ。
ママチャリは当然として下手するとランナーに簡単に抜かれる。
「良いではないか。わしもゆっくり大好きだ」
暖かい日差しがあるので冷たい風が気持ち良い。
聖蹟桜ヶ丘の駅前を通り過ぎて乞田川に沿って自宅へ戻る。
久しぶりのチャリンコでオヤジは疲れたのか?
京王永山駅でクロちゃんを畳み京王線で帰る。
「オヤジ今日は楽しかったよ。また行こうな」