大栗川に沿って聖蹟桜ヶ丘へ

親父出てこいと言ったわしの声が聞こえたのか?
それとも久しぶりの暖かい日差しに呼ばれたのか?
オヤジは、黒い自転車を手にして家を出てきた。
黒い自転車、オヤジが「クロちゃん」と呼んでいる小さな自転車だ。
「遠出するならわしも乗せてってくれ〜」
急いでオヤジの背に乗る
オヤジの漕ぎ方は至極のんびりだ。
ママチャリは当然として下手するとランナーに簡単に抜かれる。
「良いではないか。わしもゆっくり大好きだ」
暖かい日差しがあるので冷たい風が気持ち良い。

家からのんびり小一時間ほど走ると「大栗川」に出る。
川沿いの下り基調の道はオヤジが好きがルートだ。
気持ちよさそうにペダルを漕いでいる。
元気そうでよかった。
大栗川沿いは春になると桜や拳の花が咲く。
気持ち良い季節がもうすぐだ。

聖蹟桜ヶ丘の駅前を通り過ぎて乞田川に沿って自宅へ戻る。
久しぶりのチャリンコでオヤジは疲れたのか?
京王永山駅でクロちゃんを畳み京王線で帰る。

「オヤジ今日は楽しかったよ。また行こうな」





ABOUT US

リード ドリーム代表
蔵のヤモリです。 茨城のとある町のとある蔵で長年過ごしておりました。 しかしながら時代の流れで蔵は次々となくなります。 そんな訳で今は、都心から少し離れた郊外のとある家に住み着いています。 その家の住人は、髪の毛も薄くなった70歳を目前にしたオヤジです。 65歳を過ぎたあたりから仕事に出かける姿が減りました。 その代わりチャリンコに乗って何やら出かけることが増えたようです。 今の私の楽しみは、そんなオヤジの毎日を観察することです。